表紙特集記事一覧>依存症について考える


依存症について考える 2018.5.22


 ここで言う依存症とは、中毒など、完全に病気となってしまった状態を除きます。
中毒症状は治療が必要です。
完全に自由意志の介在する余地がなくなっていると考えられるからです。
ここではあくまでも、自分の意志で「依存」することを選んでいる場合を考えます。
ところが、最初は自分の意志で選択したのですが、いつの間にか、他者(酒、タバコなどの物質を含む)に自分を委ねてしまっていることに気づかなくなります。この状態を依存と考えます。

たとえばタバコがやめられない人に言いたいことはただ一つ。
人間にとって、自由であることは最も重要な大前提であります。だから、タバコを吸うことも酒を飲むことも、もっと言えば麻薬をやることも全て自由であります。ただ、その結果については堂々と受け容れてくださいということです。タバコが有害であることはもはや全く反論の余地のない科学的な事実となっています。それを承知でタバコを吸い続けるのも全くの自由です。掛け値なく、心からそう思います。でも、その結果として身体に不調が起こった時にうろたえるのはやめてほしいということです。病気になったら堂々と受け容れて、死ぬことになったら取り乱すことなく、穏やかに亡くなって欲しいということです。
「私は常々体に悪いことを承知でタバコを吸い続けてきたのだから、今こうして癌になったのは私自身の責任であるから、甘んじて受け容れて死んでいきます」と周りにも自分にも冷静に宣言してほしいのです。
これは皮肉な気持ちで言っているのはありません。本当に心からそう思っているのです。

人間にとって最も大切なのは自由だと心から信じているからです。
無条件の愛が大切なように、無条件の自由も大切なのです。
勉強したら自由に遊んでいいよとか、働いたら美味しいものを食べてもいいよというような条件付きの自由ではなく、
初めから何をしてもいいのです。それが本当の自由です。
働かないで家に引きこもってもいいのです。
働かなくてもおいしいものを食べていいのです。
人間は自由なのです。

ところが、実際には、ほとんどの人がタバコを吸って胃が痛くなるとすぐに病院に飛び込んで治療してもらうのです。

たとえば、ナイフで自分の手を切って傷つけて血が出て痛くなって、病院で治療してもらうというのはおかしいと思いますね。
自分で自分を傷つけているのだから、その痛みも自分で引き受けて受け容れて、その痛みに耐えるべきではないでしょうか。

依存症の人は、そういう覚悟ができていないのではないでしょうか。
そういう覚悟の出来る人は依存症にはならないのかもしれません。
依存症の問題とはその一点にあるような気がするのです。

お酒の問題点は、声が大きくなることです。気持ちが大きくなることです。
ほぼ例外なくそうなります。
相手の迷惑を考えずに自分の言いたいことを一方的に言うようになります。
いわゆる「酒の力を借りる」というやつです。
そこが問題です。
それは、一見、自分の言いたいことを言えて、自分の意志を強く出せたように見えますが、実は逆です。
酒に自分を委ねているということですから、自分の意志を酒に明け渡しているということです。
そこに自由意志はありません。

言いたいことを一方的に言うのは自由意志ではないのです。
それは相手に甘えているのであり、自分の責任を投げ出して、自分を他者にゆだねてしまっているのです。
そのことに気づいて欲しいと思います。

依存症の問題点は、結局甘えであり、自由意志の行使であるようにみえて、実は自由意志の放棄になっているという点です。
だから、その結果について、自ら責任をとろうとしない。

依存症には、迷える霊が関わっていることが多いと指摘する書物が多くあります。
アルコール依存症のまま亡くなった霊が、意志の弱い身体に憑依して酒を飲ませるということらしい。
それが真実かどうかはともかく、依存症とは、自分の意志を放棄してしまった状態だということには変わりがないのです。

自律とは、常に自分の意志を冷静に正しく行使できる状態にしているということだと思います。

少し議論の整合性がなくなってきてしまったようです。
私は何が言いたかったのでしょうか。

人間にとって、最も大切なものは自由意志であり、体に悪いものであろうと何であろうと摂取する自由があるということ。
しかし、その自由意志の行使の結果、逆に自由意志を相手にゆだねてしまうという状態になることがある。
それを依存と呼ぶのではいかということ。
つまり、依存とは自由意志を放棄してしまった状態なので、これは自らの人生を放棄することになるということ。
そういうことが言いたかったのだと思います。

自律した人間であることが、自分の人生を生きる条件であることが言いたかったのだと思います。

以上。