カルテ開示元年に寄せて PART1

私はいつか、皆さんがカルテというものに対して抱いている誇大なイメージを払拭しておかなければならないと考えていました。北毛保健生協で正式に申請型カルテ開示がスタートした今が、そのいい機会と思います。以後数回にわたって、勝手にカルテ閲覧のノウハウを特集させていただきます。

カルテには、重要な個人情報が極めて見やすい仕方で記載されています。つまり、住所・氏名・生年月日・電話番号などの一般的な個人情報、見る人が見れば職業や勤務先を特定できる健康保険証の種別と記号・番号、そして年金や福祉医療についての情報、これらはすべて、普通カルテの一番上にバッチリ書かれています。

医療機関の都合から言えば、これらは個人の識別のために、つまり、これがその人のカルテであることを確認するために使う情報ですから、当然カルテの一番見やすいところに記載します。しかし、迂闊にもれて悪用されるとちょっと怖いことになります。例えば、身分証明書として健康保険証を認めているケースは多々ありますが、あんなちゃちな印刷はワープロとカラープリンタで簡単に偽造できます。そこまで本格的でなくとも、住所・氏名・生年月日で、住民票や課税証明書くらいは取れます。くわばらくわばら。

だから、自分が見るのはともかくとして、少なくともやたらと他人に見せるべきではありません。医療機関によっては、病名まで一番上に書いてあることがあります。この場合はいっそう注意しなければなりません。生命保険などは、かかっている疾病によって保険料が変わりますし、申し込み時に既に疾病に罹患していたことが後になってわかった場合など、約款によっては給付が受けられない場合もあります。

やれやれ、表紙の話で第一回は終わっちゃいました。次回からはいよいよ中身の話です。


「くらしと医療」2001年1月号


次のを読む
前のを読む


Indexにもどる
トップページにもどる