カルテ開示元年によせて PART6

カルテを読むには、カルテの「構成」についてある程度知っておく必要があります。今回はここら辺を取り上げましょう。なお、カルテ、カルテと繰り返しておりますが、通常、外来と入院では全く別のカルテを使います。しばらくの間は「外来診療のカルテ」を中心にお話します。

外来カルテは、普段青い袋で運んでもらっているあの一冊ですべてです。ここに、過去数年分の外来診療の記録が残されています。もう少し正確にいうと、北毛病院・北毛診療所ではカルテの更新は四年に一回で、今のカルテは西暦二千年からのものです。二十一世紀になっても、前世紀からのカルテを使いつづけているわけです。

カルテの基本的なつくりは、ボール紙に薄い紙を貼って冊子にしたものです。細長いボール紙をほぼ均等に二ヵ所で折り曲げて、まん中と右側の部分を使って見開きにします。この見開き部分にどんどん紙を貼っていって新しいページにします。紙の貼り方にはルールがあり、見開き右には罫の入った白い紙、見開き左には罫の入っていない色つきの紙を貼っていきます。白い紙は医者が書くためのもの、色つきの紙は検査結果などの伝票を貼るためのものです。カルテの医学的な記載の大半は、この部分に集中しています。

残りの部分には、医学的ではない情報、つまり「個人を識別するための情報」と「料金計算のための情報」が記載されています。見開きの紙を貼らない側は、カルテの表紙になります。「個人識別情報」はここに書かれます。折り曲げたボール紙の左側の部分(見開きに参加しない部分)は折込んで栞のように使います。カルテを開くと一番初めにここが見えることが多いです。この「栞」部分に「料金計算のための病名」が記載されます。「料金計算表」はカルテの裏表紙の内側、つまり色つきの紙が貼ってあるところに書いてあります。この表は独特なもので、私にもよく見方がわかりません。

いかがでしょうか。言葉で書くと何やらよくわからなくなってしまいますが、現物を見てもらえば、どの辺に何が書いてあるのか一発で理解できるはずです。では、次回の診察をお楽しみに。


「くらしと医療」2001年8月号


次のを読む
前のを読む


Indexにもどる
トップページにもどる