インフォームドコンセントといいますが(その2)

問題:歯みがきの講習会が3通りの方法で行われました。その後歯の衛生管理に熱心だったのはどのグループでしょうか?
 

  1. 熱烈に注意を呼びかけられたグループ。ハミガキをきちんとしないとどんなひどいことになるか(つまり「こうなるのはあなたですよ」とやる)講習を受けたグループ。
  2. 同じ情報をもう少しマイルドに(耳障りでなく、適度に)訴えられたグループ。
  3. 悪いハミガキを放ったらかした結果についてはほとんどふれずに一番おだやかに訴えられたグループ。

講習会で一番強いインパクトをうけたのは確かに1番のグループでしたが、この人たちは結局誰もハミガキの習慣をあらためなかった!

一年後一番頑張っていたのは、明らかに一番おだやかに・・・のグループでした。

強いインパクトをうけると、恐怖や怒りといった感情の変化はおこりますが、その時に身構えてしまって、しばらくは情報を受け入れられなくなります。

これは無論情報を送る側の責任ですが、故意にそういう形で送られる情報も多いので、情報をうける側もそのつもりで臨まないといけません。

心が大きく動くとき、理解力、判断力は下がります。「自分が落ち着いて話を聞ける状態か」常に注意していたいものです。


おことわり

ここにあげた「ハミガキ講習会」の例は、津田司監訳「新しい問診・面接法」医学書院より引用させていただきました。この本は医療面接についての名著で、私は以前から医療関係の方々に一読を勧めているのですが、残念ながら現在は絶版となっており入手は困難です。


「くらしと医療」1994年11月号


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