インフォームドコンセントといいますが(その3)

最高裁判所判事の国民審査では、いちばん最初に名前の書いてある人にいちばんたくさんのバツがつくといわれています。

街頭で通りがかりの人を対象とするアンケート調査をすると、テーマに対して賛成反対が比較的ハッキリ二分します。

はじめの例は有名な話ですが、結果だけを一覧表で出されて「判事某は不信任票が多い」とやられてはたまったものではありません。

後者も、ちょっと考えてみれば、通りがかりの人でアンケートに協力するというのはそのテーマに関心がある人でしょうから当然結果は賛成反対に分かれることになります。しかし、これまた結果だけグラフになって「国民の半数以上が・・・」とやられると、あれれ?

ここではわざと関係ない事例を取り上げましたが、医療の世界にもこんな例はいっぱいあります。

インフォームドコンセントは、これまで「それに取り組む上での姿勢」といったことに重きをおかれて語られてきたように、私自身も感じています。しかし「そのめざすところはよし」とする意見が大勢となっている昨今、その前提である「適切な情報伝達」といういわば技術的な側面について、もっと語られてしかるべきではないでしょうか?


「くらしと医療」1994年12月号


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