無症状という症状

 学生時代、講義中に学生を当てるのが好きな先生がいました。
「さあ、眠気覚ましに行きますか。***病の主症状は?」みたいな感じで後ろから順に(できる学生は大抵前の方にいますから)当てていきます。
 私がどの辺に座っていたかはともかく、この質問「無症状です」と答えると、案外正解であることが多いのです。

 有名な病気の多くには普通自覚症状はありません。高血圧、糖尿病、高脂血症、慢性肝炎、貧血、慢性腎炎、早期ガン、AIDS、、、。

 高血圧で肩凝りや頭痛がある、糖尿病だと疲れやすいしのどが渇く、肝臓病はだるい、、ガンはやせる、、などとまことしやかに言われています。これらはまったくの間違いではないにしても、「実際にはそうじゃない人が多い」こと、および「そうじゃないからって(つまり自覚症状がないからって)病気が身体に影響していないわけではない」ことは案外知られていないようです。

 例えば、血圧が200/100でも平気な人は大勢います。でもだからって大丈夫なわけではないのです。糖尿病も同じ。のどが渇くようになる前に見つけて治療を始められれば、それに越したことはありません。
 コレステロールや中性脂肪が高くても、そしてそれが原因で動脈硬化が進んでも、自分では全然わかりません。そしてある日突然胸が苦しくなって、、、くわばらくわばら。

 ですから、健診を積極的に利用しましょう。今年まだの人は組合員健診を受けましょう。いまからでも間に合いますよ。

 早期ガン、AIDSなども、検査しなければ絶対わからない病気です。特殊検査が必要ですから、専門検診を利用するか医師に相談するかしてください。


「くらしと医療」1995年11月号


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