マスオさん、気をつけて

忘年会・新年会シーズンを前に、あえてお説教臭い話をしましょう。

「酒害」という言葉があります。文字どおりの意味なのですが、どうも肝臓の障害ばかりが注目され、肝心なところが黙殺されてきたように思います。

アルコールは中枢神経に抑制的に作用します。お酒を飲むと一般に威勢が良くなりますが、これは「箍が外れて見かけが元気になっている」のです。こういう状態は総じて気持ちがいい(報酬的効果)のでまた飲みたくなります。アルコールは「欲しくってどうしようもない」状態を作り得る薬、依存性薬物です。

すこし考えれば、こういう薬がどんな状況を招き得るか見当がつくと思います。例えば「サザエさん」のマスオさんは「いいひと」の代表みたいな方ですが、ことお酒の飲み方に関しては結構危ない部類(問題飲酒群)に入ります。
 

こういうのが酒害です。だから飲んでも一向にかまわない人もいますが、肝臓病の有無にかかわらず「絶対飲まない方がいい人」もいるのです。では乾杯。


「くらしと医療」1995年12月号


次のを読む
前のを読む


Indexにもどる
トップページにもどる