なぜ血圧が高いといけないか

春から夏にかけての時期は、健康診断の結果を持って診察に見える方が多くなります。健康診断結果の書き方は、失礼ながら多くは杓子定規で「血圧がやや高めです。血糖値が高値です。医師の診察を受けましょう。」といった具合です。

では、なぜ高いといけないのでしょうか?これにはもちろん理由があります。

血圧とは、心臓から送り出された血液の、血管(動脈)での圧力です。水道管に例えるのがわかりやすいし実際に近いと思います。送水ポンプが心臓で水道管が血管で、ここでの水圧が血圧です。心臓ポンプは2サイクルですから圧力も2点で測ります。
血圧が高いとは、水道管にいつも過剰な圧力がかかっているということになります。原因も水道管と理屈は同じで、ポンプが強すぎる、水道管が細すぎる、水が多すぎる、、などです。困ることも同じ。水道管が傷む・壊れやすくなる、overloadでポンプもだめになる、、、などですね。

人間の体にはかなりの個人差がありますが、細胞や身体の器官の微細構造(組織といいます)になるとそんなに違いはありません。身体を鍛えるにはいろいろな方法がありますが、多くは筋肉や心肺機能を鍛えるのであって、上皮組織や一つ一つの細胞を鍛えるわけではありません。つまり「血管を鍛えて丈夫にすることはできません。」どのくらいの圧力にどのくらいの期間なら耐えられるか、これにはそんなに個人差はありません。

「ちょっと血圧高いが、私は丈夫だから」「血圧が高いのは昔からだから」というのは高血圧治療を免除する理由にならないというのはご理解いただけたでしょうか?

 
次回はなぜ血糖が高いといけないかです。


「くらしと医療」1996年5月号


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