なぜコレステロールが高いといけないか(その1)

 実は今回はあまり歯切れのいい話ができません。大雑把にいって、余計なコレステロールが動脈硬化を促進するらしいことはわかっています。そして動脈硬化がいろいろな病気の原因になることもわかっています。だからコレステロールは万病のもとというわけです。
 ここで話を終わりにしてしまえばいいのですが、それではホットタイムになりませんから先へ進みましょう。

 あまり良いたとえではありませんが、コレステロールが高い状態を放置しておくのは、押し入れの奥に精度の悪い時限爆弾をしまっておくようなものです。あるから困るわけでもないし、いまどうなっているのかよくわからないし、いつ爆発するかあるいは本当に爆発するのかよくわからない、でも時々見ると気にはなる、そして爆発したら一大事、、、そんな感じです。

 あるから困るわけではない:極端な話ですが、コレステロールが高くてもそれ自体が致命的となることはまずありません。これに対して高血圧や高血糖は、そのものが命取りになり得ます。

 いまどうなっているのかよくわからない:いまのところ血圧計やテステープのような簡便な測定法はコレステロールにはありません。もちろん自覚症状もありません。そして血液検査でコレステロール値がわかっても動脈硬化の程度はわからないのです。

 いつ爆発するか、そもそも本当に爆発するのかわからない:きょうの検査でコレステロールが高かったから、あしたすぐ具合が悪くなるというわけではありません。動脈硬化の進展や、それに伴う疾病の発生・経過は個人差が非常に大きく、細かい予測は困難です。

 爆発したら一大事:動脈硬化が関係する疾患の代表は脳卒中と心臓病です。

 次回に続きます。


「くらしと医療」1996年9月号


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