健康ドリンクの落とし穴

 この文章は、特定商品の宣伝や奨励、ましてや誹謗・中傷を意図したものではありません。予めお断りしておきます。

 「ドリンク剤」と称される医薬品や健康食品が氾濫しています。
 これらの殆どは、各種のビタミンとアミノ酸、それにカフェインと香料と炭酸水を組み合わせたものです。私はあまり飲んだことはないのですが、黄色っぽくて独特のにおいを持った商品が多く、飲んでしばらくすると、やはり黄色くて独特のにおいのするオシッコが出るようですね。某医薬品の添付文書によれば、このオシッコの色とにおいは、成分中のビタミンB1に由来するものだそうです。

 どういうこと? こういうことです。飲んだもの、つまり、瓶に入っているもののすべてが栄養になるわけではありません。吸収されてすぐにオシッコに出てしまう成分も少なからずあるんです。ある成分が****mg配合されているのは事実としても、全部が全部、体内で有効利用される保証はないということですね。

 「ビタミンC入り」をウリにした清涼飲料水もたくさんあります。
 ビタミンCはアスコルビン酸という化学物質で、名前の通り「酸」です。ですから、本来は酸っぱいものです。「レモン**個分のビタミンC」というのが決まり文句のようですが、レモンはそのままでは酸っぱくて、そう何個も食べられるものではありません。

 だから何? だから、あの手の飲み物には「味付け」が不可欠なんです。方法は大きく2つ。炭酸で舌をごまかすか、砂糖で甘くするかです。どっちが中心かは商品によって違います。びっくりするほど砂糖の多いやつもありますよ。

 別に、飲むなとは言いません。ただ、用法・用量は守ってくださいね。


「くらしと医療」1997年11月号


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