「不幸の手紙」のナンセンス

 先日「棒の手紙」というのをいただきました。こんな感じです。

    28人の棒をお返しします。
    これは棒の手紙といって、知らない人から私のところへ来た
    死神です。
    あなたのところで止めると必ず棒が訪れます。
このあと、どこそこの誰々さんが止めたので死にました、12日以内に、文章を変えずに28人に出してください、私は980番目です、申し訳ありませんが、これはいたずらではありません、云々と続きます。

 勿論、こういうのは「いたずら以外の何者でもありません」。

 まず、手紙を28人に出せというのは無理な、というか無謀な注文です。皆が忠実に指示を守れば、日本中はあっという間に棒の手紙であふれてしまいます。たった6回で4億8千通ですよ。

 さらに御丁寧に、私は980番目とあります。本当に980番目であれば、手紙は28の980乗倍に増えていることになりますが、これは実に1419桁!の数字です。まさしく天文学的な数字で、日本の郵便物の処理能力をはるかに越えた数であることはいうまでもありません。

 そもそも、手紙が次の人に渡るのに平均6日かかるとして、980番目になるのに何年かかります? 16年以上ですよ。

 いかがです? 「棒の手紙」の作者さん。この手紙にかけるエネルギーを、もっと生産的な活動に向けていただけませんか。


「くらしと医療」1997年12月号


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