予防接種を受けるなら

予防接種会場での、母と子の会話「注射やだあ。なんで注射なんかするのぉ」「だって、うーんと重い病気になっちゃったらいやでしょ。今一回チックンすれば、それで安心なのよ。だからちょっと我慢よ」

成程。ママの言うとおり、注射で病気が防げるならばこんなにありがたいことはない、、、子供は当然そうは考えないのでいろいろ抵抗するわけですが、結局プスリ。ウエーン。でも、おかげでうーんと重い病気は見事に予防されています。これには勿論理由があって、お上が銭を出すのは、効果が確実に保証されている予防注射に限られるからです。インフルエンザの学校集団予防接種が廃止されたのは、流行株の予想が外れればパーになるなど、この注射の効果は確実ではないからです。

閑話休題。だから予防接種は、、じゃなくて、このおかあちゃんの理屈は、当然大人の病気にも適用されなくちゃいけません。つまり、禁煙で、禁酒で、食事制限で、運動療法で、定期検診で、これで病気が予防できるのならば、こんなにありがたいことはないんです:-)。

問題は予防接種ほど効き目がダイレクトではないことでしょうか。一発勝負ではないし、これをやれば絶対確実というわけでもない。しかし、医者も客商売ですから、全然根拠がないんだったら、わざわざ耳の痛い生活指導をして人気を落とすようなヘマはしません。下世話なことを言えば、黙って薬を出して数はちゃっかり診る方が短期的には楽だし儲かるんですが、長期的には信用を失くして損するようになってるわけです。良薬口に苦し、良医は口悪し、、お粗末。

最後に忠告。「あのひとは煙草吸わないのに肺ガンになった」っていうのはナシね。これ、喜ぶのは煙草で儲かる連中だけですからね。例外は数が少ないからこそ目立つんです。


「くらしと医療」1998年6月号


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