インサイド介護保険 その4

一次判定のあれこれを書いているうちに、とうとう本番の要介護認定が2ヶ月後(1999.10からスタート)に迫ってしまいました。今回からは、訪問調査を受けるにあたってのあれこれをまとめましょう。

「自立」という言葉はいろいろな意味で用いられますが、介護保険の要介護認定で「自立」といえば、それは保険給付が受けられない(介護サービスの利用に介護保険が使えない)ということを意味します。しかし、本当に「自立」となるひとは、実際にはかなり少ないはずです。というのは、一見あるいは常識的には「自立」しているようであっても、実はさまざまな介助が行われている、あるいは調査用紙への記録上は介助が行われているとされることが多々あるからです。訪問調査を受ける際には、ここら辺をきちんと反映してもらわねばなりません。

では、ヤバそうなところをピックアップしてみます。

排尿後/排便後の後始末という項目があります。ポータブルトイレを使っている場合、後片付けまで自分でやってはじめて「自立」です。独力でポータブルトイレが使えても、後片付けは他の人がする場合は「間接的援助」となります。

一般家庭用浴槽への出入りという項目があります。これは、浴槽の縁をまたぐのに介助が必要かをチェックする項目です。つまり、浴槽の縁をまたいでいない場合には「行っていない」が正解です。例えば、シャワー浴、デイサービス施設等での機械浴のみ、月一回程度の入浴サービス、特殊な浴槽でまたぎが不要等々は、全て「行っていない」です。

清潔という項目があります。はみがき、洗顔、整髪、つめ切りについての調査です。これらは、準備から自分で全部やっている場合のみ「自立」です。はみがきの場合、歯ブラシやうがい用の水の準備をしているとか、磨き残しをチェックしているといった場合には「一部介助」です。洗顔では手で顔が洗えるかどうかが問題で、蒸しタオルで顔は拭けるが、手では洗えないという場合は「一部介助」です。つめ切りも両手両足のつめが全部切れる場合のみが「自立」片側のみとか足は無理といった場合は「一部介助」です。

食事摂取、衣服の着脱という項目があります。これらには「見守り」という選択肢があります。できることはできるので直接手は出さないが、見てないと心配というのは「見守り」です。できることはできるが、ああしろこうしろと指示が必要な場合も「見守り」になります。

居室の掃除という項目では、他の人が全く手を出さない場合が「自立」です。自分でもある程度はやるけど、細かいところは手伝ってもらっているなら「一部介助」です。金銭の管理という項目では、所持金の管理を全て自分でやっている場合、および、金銭出納の計算が誤りなくできる場合が「自立」です。小額の小遣い銭のみを管理しているとか、ときどきお金の計算を間違えるというのは「一部介助」です。

ひどい物忘れ、周囲への無関心をチェックする項目があります。これらは過去一ヶ月に何回あったかで評価します。一ヶ月に一回なら「ときどきある」、一週に一回なら「ある」です。この基準は、他の問題行動関連の項目にも全て該当しますから注意が必要です。だって、フツー一週間に一回ならときどきって答えちゃうでしょ?

お互いが不慣れな中で始まる介護保険です。きちんと調査をしてもらうには、相応の予備知識が必要ですよ、たぶんね。


「くらしと医療」1999年8月号


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