インサイド介護保険 その6

要介護認定のあれこれを書いてきましたが、ここらへんで介護保険そのものをおさらいしてみましょう。

そもそも介護保険は、かなりアヤシイ制度です。なにしろ「強制」加入で保険料は原則「天引き」ですから、多くの人は知らないうちにちゃっかり保険料を取られるしくみとなっています。「介護?オレには関係ないね」と言うなかれ。40歳からですよ、介護保険は。

さて、ここまでは自動的に、つまりお上の都合で勝手にやってくれるくせに、いざ保険を使うとなると大変です。ピンチになると、何処からともなくケアマネージャがやってきて、いろいろと世話を焼いてくれるとうれしいのですが、残念ながら「はじめの一歩」は自分でやらねばなりません。役場の窓口なり、代行業者(「居宅介護支援事業者」っていうんですよ)なりに、一声かけなきゃ始まらない。「頼みもしないのに」保険料はもっていくくせに、「頼まなければ」介護保険は何もしてくれません。

やれやれ、申し込みが済んだ。じゃあ明日から....というと、そうはいかない。今度は査定、じゃなかった要介護認定を受けて、どこまで(つまり「いくらまで」ね)保険で面倒見てもらえるのか見立ててもらわねばなりません。これがまた面倒だ。調査員の訪問調査を受けて(もちろん「調査」ですから根掘り葉掘りいろんなことを聞かれます)、場合によっては医師の診察も受けて、しかも結果がでるのに下手をすると1ヶ月近くかかります。

それでも何とか認定が取れた。さあ、これで大手を振ってと思うとまだ早い。ケアプランを作らないといけません。「要らねえやそんなもの」結構、その場合は全額払いです。フツーの自己負担はかかった費用の1割、この場合の全額とは「かかった費用の全額」ってこと。保険分の9割は後で戻るけど、何とも意地の悪いしくみさね。「しゃあねえ、自分で作るか」結構、んじゃあ業者(これは「居宅サービス事業者」ね)との交渉も自分とこでやるんさね。「そんなぁ....」ってことで、フツーは業者(これは「居宅介護支援事業者」ね)に頼むことになります。ここでまた「調査」です。前のは「要介護認定のための調査」、今度は「ケアプランを作るための調査」です。「どうせならまとめて一回でやってくれればいいのに....」、みんながそう考えると思うのですが、更生しようが「ダメダメダメ」っていうので仕方ありません。

いやぁ、ちょこっとデイケアに行こうと思っても大変だ(ちなみに、今なら電話一本でオッケー)。あと半年ですから、抜かりなく準備を進めましょうね。


「くらしと医療」1999年10月号


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