インサイド介護保険 その7

このところの介護保険を巡る情勢は、ハッキリ言ってしっちゃかめっちゃかです。そ、例の「介護保険料凍結」のことですよ。

そもそも、なんで「介護保険」という社会保険をつくることになったのか?その理由はこうです。ケアマネージャ試験の教科書からの引用です。

今後、急速な高齢化の進展に伴い、介護サービスに要する費用の増加は避けられないが、その財源を安定的に賄う仕組みとしては、租税財源の配分という形になる公費方式に比べ、保険料の使途が介護費用に限定される社会保険方式のほうが保険料負担と給付の対応関係が明確であり、このため、介護サービスの拡充に伴う負担の増加についても、国民の理解を得ることにつながりやすいと考えられる。

いやはや、なんともすごい理屈です。つまりは「税金だと何につかわれるかわかんないから、それ専用の社会保険がいい」ってこと。お上がそう言ってるんですよ。コラコラ、税金の使い道を決めるのはお前らだろうが! しかも「その方が国民の理解を得られる」と来たもんだ。オイオイ、国民は税金が福祉目的に使われるなら文句言わんぜ。そう言って消費税導入したろうが!!

で、今度はじじこちゃんの「保険料凍結」。「凍結」ってのがミソで、別に介護保険がダメってんじゃないから法律を変えるわけではありません。あの法律のどこをどう解釈すると保険料ナシで保険財政が運用できるのか皆目見当がつきませんが、できるんだったらどうして最初から全部税金でやらないんだ?。ちなみに、介護保険の財源は公費半分、保険料半分と明示されています。まさか、半年分前渡しするから前半は100%公費でやって、残りの半年は100%保険料でやれってんじゃないでしょうね。

他方、元厚生大臣カイワレ君の率いる(あっ、もう党首じゃないのか)某政党なんぞが、やれ総選挙の票かせぎだとか何とか騒いでますが、これもおかしい。おたくらの理屈からすれば、じじこちゃんがやりたいのは、せっかく国民の理解を得るために創設した介護保険を放っておいて、た~だ税金(やっぱ赤字国債かなぁ)を突っ込みましょってこと。だったら、国民の反感を買うことはあっても恩義に感じて一票投じることにはならないでしょうが。

う~ん、誰が正しくて誰がまちがっているんでしょうねえ、

「わしにはわかるな。狼をしめ殺す猟犬が正しくて、人喰い狼がまちがっているのさ!」


「くらしと医療」1999年11月号


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